[ 努 力 家 の 泥 沼 ]
「わかんねー」
「考えもしないで、わからないって言わないの!」
自力で考えるのは困難だ。
いつもに頼ってばかり。
頭が悪いのは昔からわかってる。
もうすぐ中間テストだ。
さっぱりわからない英語の文法をに教わるのは、テスト前になれば毎度のこと。
一人で勉強できるのなら、この勉強時間も全部デートに当てられるのに。
デートにも行けず、俺たちはテスト勉強に時間を費やすのだ。
せっかくの休みも消えていく。
少しくらい、と一緒にいられる時間をくれたっていいじゃないか。
神様はきっと、俺に恨みがあるんだ。
きっと、そうだ。
それ以外、考えられない。
シャープペンシルを指でもてあそぶ。
すると、にノートで叩かれる。
おかげで、考えが吹っ飛んだ。
神様の恨みのせいで、俺の頭が悪いわけじゃない。
俺が頑張らないから、頭は悪いまま、良い方向に進まないんだ。
「またさ、人のせいにして、自分は悪くないって思ってるんじゃなーい?
努力しなきゃ、テストで点はとれないよ」
「それくらい、わかってるって」
「徹が嘘つくときは、目が泳いでるからバレバレよ」
「ゲッ、マジで?」
「あはは、図星だね。目なんか泳いでないよ〜」
まただ。いつも通り、のペースで進んでいく。
には敵わない。
敵うよう努力するつもりはないし、この関係が俺は好きだ。
デートに行けなくても、とずっと一緒にいられるから。
そうだ、デートに行かなくたって、が傍にいればそれでいいんだ。
大事なことを忘れていた。
こんな俺のために時間を割いているに、感謝しなくてはならない。
こんな俺と一緒にいてくれるのために、何かしなくてはならない。
とりあえず、目の前の英語を片付けよう。
これが終わらなければ、何も始まらない。
「ゴメン、。ここ、もう1回教えて」
「え?」
「ちゃんと、やるから」
「顔つきが変わったね。やる気モード徹チャン全開?」
隣でが笑っていた。
英語の勉強が終わったら、俺のペースで振り回してやるんだ。
もちろん、を。
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徹くんは、勉強の効率が悪そうだ。
中学高校だと、テスト前くらいしか部活の休みがないですよね。