[ ドライビングスクール ]










『学!焼き鳥食べに行こ!』
突然、さんから電話があった。
いつもさんからの連絡は突然。
高校生最後の春休み。
スポーツ推薦で大学には合格したから、時間を持て余している俺。
長い長い大学生の春休みで、アルバイトがないときは時間を持て余しているさん。
持て余しているもの同士、仲良くやっている。

免許を取得してから1年以上経っているさん。
アルバイトで貯めたお金で中古の車を購入したらしい。
さんの助手席に乗るのは初めてだ。





「慣れるまで時間かかったけどねー、車あると便利だから学も免許とればいいのに」

「そしたら、俺に運転させるんでしょ?」

「もちろん!」





窓の向こうの景色はどんどん変わっていく。
反対側にはさんがいる。
まっすぐ前を向いて、真剣な眼差しを送っている。
「焼き鳥ー焼き鳥ー」と目を輝かせていた。

さんが以前飲み会をしたという焼き鳥屋。
安くておいしい、だから俺を連れてきたかったらしい。
カウンター席で、どんどん焼かれていく鳥や野菜を間近で見るのもいい。
食べながら、他愛もない会話をする。
部活のこと、授業のこと、アルバイトのこと。
話していたら時間が過ぎるのはあっという間。
締めのデザートを食べて満足そうな表情を見せるさん。
人の幸せそうな表情は、周りをも巻き込むんだ。
さんの笑顔は、俺のエネルギーになるから。





「今度は学の運転でどっか行こうねー」

「免許持ってませんよ」

「時間を持て余してるなら取ればいいのよ。車運転できたらモテるよー」

さん的にはそれ、困るでしょ?」

「もちろんですよ、私の学ちゃんを他の子にとられるなんてやだー」





言っていることが矛盾している。
けれど、さんは俺のことが好きなんだということが明白になる。
年なんて2つしか変わらない。
けれど、高校と大学という世界は大きく違う。
違う世界の二人の関係がずっと続いてきたことに感謝だ。
4月からは同じ世界に行けるのだから。

「大学入ったら、またバスケでモテモテの学ちゃんだねー」
と嫌味なのか何なのか、よくわからないことを言うさん。
忙しくなってすれ違わないように。
今度は俺がさんを迎えに行く番だ。





「俺、教習所通います」

「え、ほんと?」

「免許取ったら、今度は俺がさんを迎えに行って、ご飯食べに行きましょう」

「ほんとー?楽しみにしてる」





さんは嬉しそうな顔をしながら車を運転している。
「気分いいからこのまま夜景見に行きましょ」と俺の返事を聞く前に車を走らせる。
今日はいい夜景が見られそうだ。
明日からは、時間を持て余さないように。









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短くてスンマセン。。。
学ちゃんはバイクのイメージがあって、レディの車では助手席にいそうな。笑
バイクで二人乗りしてる話でも書こうかな。
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