# か ご め か ご め #





「かーごめかごめー かーごのなーかのとーりーはー いーつーいーつーでーあーうー
 よーあーけーのーばーんーにー つーるとかーめがすーべった うしろのしょーめんだーあれー」

「えー、わかんないよー。ヒントちょーだいっ」

「それはあげられないなぁ」

「ということは、ペコちゃんじゃないんだね。うーんうーん。
 あ、がくちゃんだ!がくちゃんのこえだけきこえないもん」

「あたり」





小さい頃はよくかごめかごめをして遊んだ。
近所の仲良し6人組で。
ヒントがなかったら後ろに誰がいるかなんて絶対わからない。
視野が360度あったらわかるだろうけど、この遊びは目隠しするから意味がない。
最近では、公園や家に庭先で子供達が遊ぶ姿を見かけなくなった。
花いちもんめやかごめかごめなんて誰にでもできる簡単な遊びなのに。

私の家の隣には幼稚園があってキャイキャイ子供達が遊ぶ声が毎日聞こえる。
今日は高校入試で学校はお休み。
もちろん部活ができるわけもなく、私は我が家の窓辺から隣の幼稚園をながめている。
かごめかごめの声が聞こえる。
私は窓から身を少し乗り出す。
おさげ髪の女の子がおにで、輪の中心にしゃがんでいる。
おにの周りを女の子が5人でまわっている。大きな声で歌いながら。

6人でのかごめかごめ、昔の私達を思い出す。
引っ越してしまったから、もう近所に6人は住んでいない。
私と学はたまたま引越し先で再会して、今・・・。
学は私の彼氏としてこうして部屋に遊びに来るようになった。
小さい頃からずっと好きで好きで、中学に入ってやっと結ばれたんだよ。
離すもんかと意地になっている私がいるのには苦笑する。

学は私のベッドの上で寝転がって雑誌を読んでいる。
冬だというのに窓を開け放している私に文句すら言わない。
学は絶対ベッドの上で寒いと思いながらも黙っているのだ。
私はしばらく冬の空気の中、かごめかごめを見ていた。
すると、学が私の真後ろにやってきて、腕を私の身体にまわすのだ。





「かごめかごめ?」

「そう、小さい頃よくやったよね。なつかしいね。私がおにの時はほとんど学が後ろにいたんだよ」

「そうだったよな。・・・・・・それが意図的だったとしたら?」





好きな人が後ろにいたんだ。嬉しくないわけがない。
子供ながらに一生懸命頑張って私の後ろに止まれるようにしてたんだよね、きっと。
わりと無口で無愛想な学がそんなことをするだろうかと疑問に思う。
けれど、それが学なんだと再認識した。
なんだか笑いが止まらなくなった。
私はクスクス笑う。





「何笑ってるんだ、?」

「マセガキ」

「悪かったな。あの頃は、それで精一杯だったんだよ、他にものこと狙ってる奴いたからな」

「幼稚園に行く前なのにね、4歳くらいのマセガキがたくさんいたんだ?」





学は私の肩に顔を埋める。
私を抱きしめる腕に一層力が入る。
愛されてるな、と実感する。
学を好きになってよかった。これからも好きでよかったと思い続けると思う。
学が私のこと好きになってくれてよかった。これからも好きでいてくれると嬉しいな。

学は片腕を私から離して窓に伸ばす。
ガシっと窓をつかんだ手は、グググと動かされて窓を閉める。
完全に冷え切った部屋の中で、私は学に抱きしめられたまま。
しかも、窓辺で。
隙間風がほんの少し入ってくるから窓辺はとても寒い。
暖房はついていても、あれだけ長時間外気と換気していたから全く意味がない。





「思い出に浸るのはもういいだろ?寒いし、せっかく学校休みなんだから」

「う、ん。せっかくの休みだしね、ふたりでゆっくり」

「あぁ」





母親が私を呼ぶ声がした気がする。
学とふたりで台所に向かうと、緑茶とオレンジ色のみかんがこたつの上に用意してあった。
我先にと私と学は争ってこたつに入り、みかんを手に取る。
学に抱きしめられていたとはいえ、外気で冷え切った身体をこたつが温めてくれた。









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夢ページにかごめかごめで学夢書くと予告しておいて半年以上経ってるのは、
単に、かごめかごめの歌詞を調べる気力がなかったからですm(_ _)m
高校で部活さえできない日は高校入試しかないと思って書きました。
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