[ う し ろ す が た ]





コンビニでアイスを買った。
部活帰り。夕日に向かって歩く。
ソーダ味のアイスにかぶりつく。

後姿ですぐにわかる。
だ。
俺の前を歩く人は。制服姿でなくともわかる。
髪型と背丈、雰囲気で十分だ。
手に提げているのは、エコバッグ。バッグの口からポテトチップスのパッケージが見える。
少し早く歩いての背中を追いかける
俺の足音に気づいてが振り返る。
目が合った。
は俺がいることに驚いているようだったけれど、にこっと笑ってくれた。





「日吉くん!部活帰り?」

「あぁ。は?・・・お菓子帰り?」

「お菓子帰りってー、日吉くんまでヒドイよ。
 お菓子大好きだけど、今日のお菓子は弟の誕生日会用なんですー」

「へぇ、弟がいるの?実は長女とか?」

「そうだよ。まぁ学校だと次女っぽいかもね」





クスクス笑う
長男長女はしっかり者というイメージがあるけれど、学校でのは甘えたがりに見える。
家での裏返し。家で甘えられないから、学校で甘えているのだろう。
妹分。それがにぴったりな言葉だ。

甘やかしたい。
甘えてほしい。
構いたい。
構ってほしい。
どれも違うんだ。
どんな感情を抱いてるんだ???





「アイス、おいしい?私も買えばよかったなー。食べたくなってきた」

「食べる?」

「え???」





食べかけはマズかったかと焦ったけれど、言ってしまった以上引くことはできない。
驚いた表情を見せたは、「うーん」と少し悩んでから「ほしい!」と笑顔で言ってくれた。
俺の差し出したアイスに顔を近づけてかぶりつくの姿を見るのは、なんだか新鮮だった。
「おいしい〜」と言ったは終始ニコニコしていた。
生理的欲求ほど、満たすことが喜びになるものはないと思う。
けれど俺は、が喜んでくれることがなにより嬉しくて、ニコニコしている思わずぎゅっと抱きしめたくなった。

好きだけれど、こんなに近くにいるのに、何もできない。
いつも、後姿を追うだけ。
2人の歩く方向が変わる。ここでお別れ。
「また明日ね〜」と手を振る
姿が見えなくなるまで見送る。
角を曲がる直前に、こちらを振り向いてまた手を振ってくれた。
そんな些細なことで胸が満たされる。









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ガリガリくん・・・。笑
好きな人と間接的にでも触れるとドキドキするっていう、
そんなものを表現したかった。

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