[ た っ た そ れ だ け ]
少しでいいから近づきたいのに、近づけないんだ。
少しでいいから話したいのに、話せないんだ。
いつも、うまくいかない。
うまくいかないのが、いつもどおりになってしまった。
いいんだ、振り向いてくれなくても。
いいんだ、俺のこと好きじゃなくても。
ほんの少し、笑顔を共有できたらいい。
それだけでいいのに。
それだけでいいのに、俺は、そんな望みでさえ叶えることができないんだ。
また今日も、部長とさんが並んで歩いているのを見送るのだ。
時々、横を向いてさんが笑う。
視線の先にいるのは部長だ。
2人で笑顔を共有する。
俺に入るすきはない。
夢の中でだけは、うまく共有できるんだ。
少しだけ、話せた。
少しだけ、笑顔を共有できた。
夢にまで出てくるのは、想いすぎているから?
夢見心地で学校へ行く。
たどりついた部室の扉を開けば、いつもの部室が広がっていた。
違うのは、さん以外まだ誰も来ていないこと。
「おはよう、日吉くん」とさんの笑顔に迎えられる。
「お、おはようございます、さん」
「今日は早いのね」
「はい、目が覚めたので」
さんと話せた。もちろん会話をリードすることなんてできないけれど。
それだけで、もう十分。
また、今日も部長とさんが並んで歩くところを見送れる。
どんなにさんが部長のことを好きでも、部長がどんなにさんのことが好きでも、
俺は、やっぱりさんが好きだから、好きでい続けると思うんだ。
ずっと想い続ける。
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あーあ、やっちまったべよ。
報われない恋は、私にはできない。
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