[ h a p p i n e s s ]
頭がおかしくなったのかと思った。
日吉くんの姿を見るだけで、心臓が破裂しそうなくらいドキドキするのに。ドキドキするのに、だよ。
素の顔で「私は日吉くんが好きだから」と言ってしまったのだ。
日吉くんは一瞬驚いていたみたいだけれど、川の流れのようにさらっと流してくれた。
「ありがとう」と、一言だけ聞き取れないくらい小さな声で呟いて。
顔から火が出そうというのはまさにこのことだ。
顔だけじゃない。全身から火が出そう、火だるまになりそうだ。
私は、全速力で日吉くんの傍を離れて逃げてきた。
放課後の誰もいない教室。
息を整えて、私は机に突っ伏した。
机の天板の冷たさが、火照った身体を冷やしてくれる。
なんてことをしてしまったのだろう。
付き合いたいとか、そういうことを望んで言ったんじゃない。
もちろん、付き合えるのなら付き合いたい。
ただ、気持ちを知っていてほしかったから。
私は、日吉くんが好きだから、幸せになって欲しい。彼の力になりたい。
その理由を伝えただけ。
せっかく食べた昼ごはんの全エネルギーを消費してしまったかのよう。
私は身体に力をいれることができなくて、机にへばりついて離れられなかった。
目を閉じてみた。
何にも見えない。
そのまま眠ろうと、
眠って、体力を回復したら、家に帰ろうと思った。
突然、わしゃわしゃと私の髪の毛をくしゃくしゃに掴む人の手が現れた。
私は驚いて悲鳴を上げて飛び上がる。
そこには、私の悲鳴に驚いた日吉くんがいた。
少し間をおいて、日吉くんは私のくしゃくしゃになった髪をなでて元に戻してくれた。
「あ、えっと、その、日吉くんはどうしてここに?」
「が走っていなくなったから、探してたんだ」
「ど、どうして、私を・・・?」
「俺が話そうとしたらいなくなったから」
「そ、そっか」
「俺の、力になってくれんの?」
「へ?」
「俺は、が好きだから、好きな人に力になってもらえたら嬉しい。俺のこと、支えて欲しい。
俺も、の力になりたいし、支えてやりたいし、幸せになってほしい」
私はどうしたらいいかわからず呆然としていた。
日吉くんは、そんな私のことを笑い飛ばしてくれた。
「一緒に帰ろう」と、優しい声で言ってくれた。
私は、「うん!」と笑顔で言ったつもりだけど、うまく言えたかな?
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ヒロインは、最近の私と、よく似ております、ハイ。
昔っから、好きな人の前ではうまく振舞えないのです、挙動不審です。
でも、私は偏屈だから、きっと好きな人のことをうまく支えられないし、
幸せにしてあげることもできないと思うのです。
だから好きって絶対言えない・・・。
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