[ 夕 焼 け 花 火 の 夢 ]





きらきら、きらきら。
まばゆい光をまとっている。
不思議だ。
「恋をしている」それ以外に何もない。
こんなにもを輝かさせるのは、一体誰だ?

ただの友達だから、授業の話や部活の話をして並んで歩く。
ふたりの距離は、決して近くない。
手と手は触れないだろう。
夕日が、町をオレンジ色に染めていた。
まるで、燃えているよう。
それは、俺の心の中も同じなのだろう。
何を燃やしている?なぜ、燃えている?
ライバルに対する嫉妬心を燃やしている。
それ以外に、燃やすものはないよ。
何も知らないは、笑顔で俺に話しかけてくる。



「だからさー、チコちゃんが別れたのは当然なんだよ」

「そうだな。忍足はどうかしてる。けど、あいつはあいつなりに頑張ってたんだろ」

「忍足くん、空回りしちゃっただけだよね。・・・友達以上の関係って難しい」

「友達以上ねぇ・・・。家族とも、友達とも違う。恋人ってやっかいだな」

「やっかい?それはいらないってこと???」



珍しく声を大きくしてが尋ねてくるから、俺は驚いた。
他人の話が興味深いのはわかるが、俺の話は興味深いものだろうかと疑問に思う。
いらないわけではない。
けれど、声を大にしてほしいと言う程度でもない。
もらえるものなら喜んでもらうだろう。けれど、誰かに与えられるものではない。
それ以上に、大切にできるかどうかが問題なのだ。
学業と部活を両立させ、さらに恋人の気持ちを満足させるだけの器量を、あいにく俺は持ち合わせていない。
だから、踏み出せないのだ。
ただ心の中で、炎をメラメラと燃やしているだけ。
炎を持続させるために、薪がどんどん費やされる。それと同時に、時間だけが過ぎていくのだ。

「努力はするよ。けど、失敗するのが怖くて踏み出せないの。大切だけど、私が壊しちゃう気がして。
 それなら、ずっと見ているだけでいいんじゃないかって思っちゃうの」
遠くを見て言うの横顔。
それほどまでに大切な人がいるのだ。
想ってもらえて、相手は幸せだろう。
は、俺の想いを嬉しいと言ってくれるだろうか。
例え受け取らなくても、その気持ちを喜ばしいものと捉えてくれるだろうか。

想いはいつか報われる。
本当にそうだろうか。
叶わぬ恋、一夜の夢のように散っていく。



「例えどんな人であっても、想ってもらえることは嬉しいことだよ。
 私の好きな人が、私のことスキとかキライに関係なく、想ってもらえて嬉しいって言ってくれれば十分だよね。
 この人のこと、好きになってよかったって。・・・あ!フラれたみたいだね、この言い方だと」

「まぁ、そうだな。俺も、相手がそう思ってくれるならそれでいいか」

「なんだー、やっぱ跡部くん、好きな人いるんだ!年上おねーさま?」

「いや、同い年」

「そっか・・・。うん、私も頑張るよ。
 『好きです』って言わないけど、その人が笑っていられるように友達として努力する」



決心するが愛おしい。
友達という関係が憎い。
そうでなければ、すぐにでも抱きしめるのに。
あぁ、抱きしめられないから、こんな話をしているのだ。
現実に引き戻される。

まずは、自分の幸せより相手の幸せをとること。
相手を思いやる余裕を持とう。
それまで、俺にと付き合う資格はない。
と付き合うなんて、夢のまた夢の話だ。









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こういう話が好きです。


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