[ 心 の ゆ と り ]
目が覚めたら、ベッドの上だった。
昨晩の記憶があまりない。
と調子に乗って、果実酒を空けてしまったからだ。
果実酒を作ることが趣味の。
の部屋で、の手料理と果実酒をおいしく食していたはずだったのに。
気がつけば、ベッドの上で眠っていた俺。
ソファベッドの上で丸まっているのは。
いつの間に、眠ってしまったのだろう。
それよりも、記憶がない間に俺は何をしたのだろう。
けれども、知る術がない。
重い身体を起こした。
はスースー寝息をたてて眠っている。
互いに、仕事の愚痴をこぼしていた気がする。
互いに、相手に対する不満を口にしていた気がする。
互いに、疲れたと言っていた気がする。仕事に、生きることに、恋人として付き合うことに。
洗面所で顔を洗った。
カーテンの隙間から差し込む朝日が眩しい。
丁度、の顔に朝日が当たる。
眩しさには目を覚ました。
身体はソファベッドの上に倒したままで。
「あ、サキ、おはよ」
「おはよう」
「昨日、あれ、サキ泊まっていったっけ?んー、私ソファで寝ちゃった?」
「俺も、昨日の記憶がなくて焦ってる」
の笑った顔に心を突かれる。
恋人付き合いすることに疲れたと言った気がするけれど、しか俺の心は動かせない。
ゆっくりと身体を起こすが、どこかの宮廷のお姫様のようで優雅に見えた。
きっと、俺は無名の画家だろう。
身分の違いが二人を阻む。
俺とに身分の違いなんてあるか?そんなものない。
何に疲れているのだろう。
恋人付き合いの何に。
思いつかない。
本当に疲れていたのだろうか。
疲れているフリをしていたのだろうか。
少し、急いでいたのだろうか。
ゆっくり歩けばいいだけなのに。
「今日は、のんびりしたいねー」
「そうだな、一日中休めるからな」
「お昼、食べに行こうよ。イタリアンのいい店、最近見つけたんだー」
記憶に残っていないということは、それほど大事じゃなかったという証拠。
酒の影響、というのもあるだろうけれど。
昼ごはんを食べる頃には、いつもの調子に戻る気がした。
とも、この先ずっと仲良くやっていける。
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どうだ、このよくわからない感じ!笑
果実酒を作るのが趣味の女性の先輩がいるので、書いてみた。
サキたんは、どうしてもシリアスな方向にいってしまうのですが…
ご意見お待ちしております。