# 青 の 薔 薇 #
不可能なんてないよ。
青い絵の具を取り出した砂紀。
下書きの線画はバラの花。
砂紀のバラは青色だ。
私のバラは真っ赤に染まった。
愛なんて、幻想だ。
そう思いながらバラを赤く染めるのは、なぜだろう。
隣にいる砂紀は、私のバラを見て眉間に皺を寄せる。
私は、砂紀のバラの色に心を奪われる。
二人は正反対。
「、やめろよ、赤。目に悪い」
「いいじゃん、愛なんて幻想よ」
「他の色にすればいいじゃん」
「砂紀こそ、青のバラなんて現実にないんだからやめなよ」
「青色のバラの花言葉は・・・不可能」
私はぎょっとした。
知っていて青色のバラを選んだ砂紀は、何を考えているのだろう。
縁起が悪いものを好んで描くその心理は?
違う、砂紀自身のことは何も描かれていない。
私の心理だ。
私にはできないことを、砂紀がやってのける。
砂紀は、私にはできないとわかって青のバラを描くのだ。
なんだ、それは。
砂紀は、私の何だ?
砂紀は、私の心を映す鏡じゃないよ。
じゃあ、何?
ふと、気づけば青のバラはきめ細やかに塗られていた。
青と白のきれいなグラデーションは、まるで青空のよう。
白い画用紙は、机の上の置かれた一輪挿しに飾られた青いバラで彩られた。
砂紀の描いたバラは、部屋の中に閉じ込められたバラが夢見た青空になった。
砂紀は、ニヤリと笑っていた。
「バラが空になるなんて不可能だけど、絵だからいいじゃん。ここは俺の世界だから」
「すっごーい、いいアイデアだね」
「を見てたら思いつくんだよな、いろいろと」
「どうして?」
「さぁね」
多分、私の不可能は砂紀の可能。
砂紀の不可能は、私の可能。
「お互い補えばいいじゃん」って、青空になったバラが言っている。
平面の中のブルーローズが笑っていた。
**************************************************
花言葉は「不可能」
そこからサキたんが連想されて、なぜか絵を描く話になりました。
サキたん、美術得意な気がする。
「薔薇」って書けないよ・・・(笑)
だから「バラ」なんです、話の中では。