「キライ」
そんな一言が欲しいわけじゃない。

「大好き」
そんな一言が欲しくて頑張ってるんじゃない。

じゃあ、何のために？　誰のために、何を得ようとして、生きているのか。こんなことを考えたいわけじゃない。できれば、何も考えたくない。できれば、もう何もしたくない。

どんなに見つめても、どんなに追いかけても、きっとは俺に「好き」という言葉を吐き出さないだろう。けれど、どんなに邪険にしても、「嫌い」という言葉も吐き出さないだろう。好きも嫌いもないのだ、には。必要か必要でないか、そのどちらかだけ。
人と人の繋がりは人生に必要ない。そんなものか？


「バカね。私なんか追いかけても幸せになれないよ」
「俺が幸せになりたいんじゃなくて、を幸せにしたいんだ」
「私は幸せにならなくてもいーの」


はっきり言い放つの横顔は、少し淋しそうだった。幸せにならないことが幸せだと主張しているけれど、そんなわけがない。
幸せにならないことは、現時点で幸せではないということだ。
恋をしなければ幸せになれないわけじゃない。けれど、少し幸せになれる魔法みたいなものなんだ。恋というものは。恋をして、幸せにしたい、守りたい相手が生まれ、想いを通じ合わせたい。
そう願うのは間違いなのか？　幸せになりたいのに、なりたいと言えないのはどうして？

今は以外から「好き」と言われても、受け入れることはできない。

違うな。彼女に「好き」と言わせたい。相手が俺じゃなくてもいい。とにかく言わせたい。俺のためではない。のために。
違うな。世のための人のためなんかではない。ただの自己満足が得たいだけ。に「好き」と言わせれば、満足できると思い込んでいる。
そうわかった瞬間、なんだか眠くなった。何も考えずに、ロボットみたいに生きたいと。けれど、彼女のことが嫌いというわけじゃない。
好きだ。うん、好きなんだ。

少しだけわかった気がする。彼女が「好き」とも「嫌い」とも言わない理由。疲れるから。
好きになったり嫌いになったり、一喜一憂、それだけで疲れる。人との繋がりがなければ、一喜一憂することも減るだろう。喜びだけで満たされる人生ならどんなに楽だろう。楽しみだけで満たされる人生ならどんなに楽だろう。

間違っていないよ、幸せにならないことは。けれど、幸せがない人生なんてつまらない。ロボットみたいに生きたらつまらない。一喜一憂するから人間なんだ。少しでもいい、ほんの少しでも、不幸より少なくても幸福があれば生きていける。
わかってるんだ、は。けれど、踏み出せないでいる。だったら、俺がその一歩を踏み出す手伝いをすればいい。

だから、毎日話しかけて、毎日笑いかけて。

「好き」と言ってくれなくていいから。

喜び感じて幸せになってほしい。




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ほとんど加筆してません。捧げものリメイクです。
すごく疲れてたんだな、私。笑