[ ワ ン ダ ー ラ ン ド ]
不思議な気分だ。
隣にはかわいい女の子がいて、俺のことを慕ってくれていて。
俺はその子が大好きで、両想いというやつになれた。
多分、このふわふわとした不思議な気分というのは、しあわせってことなんだろうなって。
「は俺を見つけられるかもしれないけど。
人ごみん中ではぐれたら、俺はのこと見つけられないかもしれないから、ごめんな。
愛があれば見つけられるって言われたらおしまいだけど」
「ううん、愛があったってなくなって、どう頑張ったって、私達が別人であってふたりであることにはかわりないもの。
手、つないでたら大丈夫だよ。離れたらすぐに気づくから、近い距離ならきっと大丈夫」
俺に笑いかけてくれる。
俺の手をにぎってくれる。
俺と一緒にいてくれる。
それだけで、もう何もいらないと思えるくらい幸せなんだ。
にぎった手から、のぬくもりが伝わってくる。
不思議な感覚。
あぁ、ここはワンダーランド、おとぎの国。
そして、ここはネバーランド。終わりのない世界。
どこか、意識を遠くにとばしていたらしい。
優しく俺の名前を呼ぶ声がする。
「さとる?さとる?大丈夫?」
「え、あ、ごめん、何か言った?」
「だって、道それてるよ。こっちに行かなきゃ」
「あ!」
が指差す方に明かりが見える。
人ごみからいつの間にか逸脱していた。
クスクスと笑うが隣にいる。
俺はため息をついて、の手を引き人ごみの方へと戻った。
あぁ、違った。
ここはおとぎの国じゃない。
俺達が生きている場所。
ここは終わりのない世界じゃない。
終わってまた始まる世界だ。
終わりと始まりが交錯する世界。
「私、覚司のこと好きになってよかった」
「え?」
「きっと誰のことを好きになってもそう思うんだろうけど、今の私は覚司のことが好きでいられて幸せだなって」
「俺も、のことを好きになってよかったと思ってるし、これからも好きでいると思う」
「うん、ありがとう。私もずっと好きでいると思う」
今は終わらない。
けれど、いつか終わりがくるかもしれない。
それがどういう意味か、いろんな意味があるのだけれど、終わっても何かが始まるから。
終わって全てが消えてなくなることはないんだ。
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ワンダーランドもネバーランドもステキですね。