[ ブルーラグーン ]





髪を結えば、うなじが丸見え。
白く透き通るような肌は、丁寧な手入れを欠かさずに得たものではなく、日々の生活習慣を乱さないように心がけて得た賜物だとは言う。
白いウエディングドレスを身にまとい、くるりと一回転してファッションショーのように、彼女はドレスを私に見せる。


「馬子にも衣裳、とはよく言ったものね」
に似合わないドレスなどない」
「お世辞を積んでも何も出ないって言ってるじゃない」
「一段と、綺麗だ」
「ありがとうございます」


きっかけはからの猛烈なアタックだった。社交界で顔を合わせたことはあったが、私の何に惹かれたのかわからないまま、猛アタックを受け続けた。
折れて交際することになれば、彼女は豹変した。猛アタックしていたエネルギーはどこにいったのかわからない程、上品な淑女に変身した。
初めからそのままでいればよかったのに。そう伝えるとうろたえていた。


「小さいころから婚約者がいたんです。本当に嫌いで嫌いでたまらなくて、その人より世間的に地位の高い人で誰もが納得する人はあなたしかいなかったので、必死でした。
 なんとか交際にこぎつけて、婚約者が他の人と結婚したら気が抜けてしまって、ルーファウスさんは淑女というけれど、私は社長令嬢には似つかわしいですよ」


と交際することはまんざらでもなかった。父親が社長を務める会社は規模も大きく、政略結婚にはよいだろうと以前から目にかけていた。
猛アタックを受けている間、これが本性かとげんなりすることもあったが、それは親が決めた婚約を破談にするための戦う姿だった。
その心意気に惹かれるものがあり、目的を達成して別れを告げられた時に断った。


「断る。私はこのままと交際したい」
「でも私のわがままに付き合ってもらっただけですので。しかも神羅カンパニーの社長に」
「私の立場は関係ない。元からに興味があった。それが深まっただけだ」
「私に、ですか?」
「もちろん他に好いている相手がいるなら別だが」
「いえ、特にいません。婚約者が生理的に受け付けなかっただけですから」
「酷い言われようだな」
「人を人とも思わない扱いをするんです。人の風上にも置けない。そんな人と一緒にはなれません」


神羅カンパニーが、タークスが、そういう人の風上にも置けないようなことをしていることを知らないわけではないのに、よく言えたものだな。
は私の手に指を絡めてはほどいて遊ぶ。小声で「タークスは別よ。みんないい人だもの」と言った。
頬に口づけを落とすと、はにこりと微笑む。式が始まるまでの間、二人の時を過ごした。

式が始まり、一段高い場所から招待客を眺める。
闇に溶け込むような漆黒のスーツに身を包んでも、赤毛やスキンヘッドは目立って仕方がない。
はレノと一緒に居る新人が気になるらしく、耳元で囁くように尋ねてくる。


「レノさんの隣の人、初めて見るかも」
「あぁ、新人だ」
「なんだか、お似合いのカップルみたい。息ぴったりのようだし」
「レノの片想いだがな」
「意外と部下の恋愛事情に詳しいのですね」


まじまじと部下たちを見るに嫉妬する。
あごを軽く掴み、顔をこちらに向かせて視線を絡めとると、頬紅で自然な紅を彩っていた頬はりんごのように真っ赤に染まる。
頬を指先で触れると、柔らかくしっとりとした肌。このままずっと触れていたい。形式ばかりの結婚披露宴などするべきではなかった。
儀式を終えたら、存分に愛そうと思う。
ブルーラグーンで乾杯をして。





ブルーラグーンのカクテル言葉:誠実な愛


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書き始めて失速(いつものパターン)
なんだか、社長でギャグ風の話しか書けなくなってきてるな。だめだな、そんな要素は原作(ゲームや小説)にはないんだけど……

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