[ 何度も言わせる惚れ台詞 ]
彼はしつこい。
「、好きだ」
言わなくてもわかってます。
「、愛してる」
愛とか、わたしにはまだ重いからいらない。
「を、離したくない」
わたしは非常に離れたいです。
公共の場で、ルーファウスは周りを気にせずわたしの体を強く抱きしめる。
ルーファウスの胸に顔を埋めているから周りを見ることはできないけれど、いくつもの視線が背中に突き刺さる。
声が聞こえる。
「あんなイケメンが惚れる女、どれだけいい女なんだ?」
わたしは美人でもないしモデル体型でもない。今すぐ身を潜めたい。
全力で彼の胸を押し、全力で走る。
逃げる。追われる。そして、簡単に捕まる。
顔を横に逸らす。彼の瞳にだけは、絶対に捕りたくない。
「どうした?」
「アホか! 公衆の面前でなんてことするの。あんた、神羅カンパニーの社長でしょ?」
「肩書きが重要か?」
「週刊誌とかマスコミが、神羅カンパニーをつぶしにかかるよ?」
「神羅カンパニーがつぶれれば、この星は終わりだ。それはもよくわかっているだろう?」
「わかっているけど! わかっているけど、わたしのような一般市民のことも考えて!」
「それは無理な相談だ」
「じゃあ、別れる」
ルーファウスの腕を振り払った。
意外と簡単に振り払えたので驚いてルーファウスの方を見てしまう。
しまったと思っても手遅れ。
ルーファウスの瞳に捕らえられて、逃げられなくなる。
「どうした? 目を逸らさなくていいのか?」
「っ、逸らすことが、できない・・・」
「なぜ?」
「わ、からないけど、体が動かない」
ルーファウスはそんなわたしを見て愉快そうに笑う。
わたしは非常に不愉快だ。
ルーファウスの右手がわたしの顎に添えられ、顔を上へと向かせる。
そして、嫌になる言葉の雨を降らせる。
「好きだ」
「知ってる」
「愛してる」
「あんたの愛は重い」
「永遠に離したくない」
「永久にくたばれ」
「それは、愛の裏返しととってよいかな?」
「勝手に言ってろ」
普通の人なら、この顔面の持ち主にこういうことを言われればときめくのかもしれないが、
わたしにとっては迷惑極まりない。
あなたのことを普通に愛してくれる人を探せばよいのに。
あなたの愛に罵声を浴びせるわたしなんて、つまらないでしょう。
「それがたまらないのだ」
「変態」
「勝手に言ってろ」
「それ、わたしがさっき言った台詞」
「何を言われようが、私は、以外の誰かにこんなことを言ったり、したりしない。私には、おまえだけだ」
聞き飽きた。
もう面倒だから、ルーファウスになびいた方がよいのかな。
彼の瞳から目を逸らせないまま、わたしは目を閉じた。
From 恋したくなるお題(配布)
バカップルな二人のお題【01. 何度も言わせる惚れ台詞】
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お題自体が社長にぴったりだと思い拝借。
「私には、おまえだけだ」ってあの声で囁かれたら、心臓止まりそう・・・