[ loop and loop ]





「あけましておめでとう」
レノに声を掛けられ顔をあげると、事務所の時計は0時を過ぎていた。
差し出されたコーヒーを口にする。
年末年始も休まずに活動するアバランチ。大人しくしてくれればよいのに。

おかげでレノと一緒に過ごすことができている。
仕事とはいえ、ありがたいこと。
最近は、一緒に任務につくことも少なくて事務所で顔を合わすこともなかった。
すれ違って、もう終わりかなと思っていた。


「あけましておめでとう。こんなところで年を越すなんてね」
「ま、いいじゃないか、と」
「なんか、2人でいるのも久しぶり」
「だな」


報告書は明日にしよう。いや、もう日付が変わったから今日だ。
家に帰って、一眠りして、シャワーを浴びて、朝ごはんを食べたら、出勤して書こう。


「帰るぞ、と」
「うん」
「俺んちにな」
「え?」
「どうせ家帰っても飯ないだろ」
「レノはあるの?」
「ない。と一緒に食って、帰って、一緒に風呂入って寝る」
「一緒にお風呂は遠慮する」
「つれないな、と」


深夜に笑いがこぼれるタークスの事務所も珍しい。
机の上を片付けてると、レノの手が私の肩に触れた。顔をあげると、私の唇に自分の唇を重ねた。
キスするのもいつ以来だろう。
本当に、何もかもが久しぶり。


「帰り仕度中とはいえ、業務時間内なんだけど」
「俺たちしかいないからいいだろ、と」
「もう……」


角度を変えながら何度も口づけられる。
呼吸をするのもままならない。
レノの身体を押し返そうとしたら、逆に身体を密着させられる。


「レ、ノ……」
、もうちょっとだけ」
「帰ってからにして」
「帰ったら、続きだぞ、と」
「ん……」


最後に名残惜しむかのような口づけを交わす。
火照る身体を気持ちで抑えつけ、机の上を片付けて更衣室で着替える。
神羅ビルの社員通用口を出ると、レノに手を引かれた。
仲良く手を繋ぐわけではなく、急ぎ足で引きずられている状態。


「レノ、そんなに急がなくても」
「急ぐぞ、と」
「どうして?」
「もう日付変わってる。早く飯食って続きして寝ないと、朝起きられないぞ、と」


私の体が欲しいだけにも捉えられるけれど、私と一緒にいる時間を大切にしてくれているのだろう。
まだ、レノと一緒にいられるみたいで安心した。




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バレンタイン付近に年越しネタを投下する。季節外れもいいとこ。

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