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「あ、ザックスだ」
「おう、か。プリン食うか?」



ザックスはかぼちゃプリンを二つ持っている。
おいしそうで、私の目はキラキラ輝きだしてしまった。
デザートに目がない私。
仕事中だということも忘れて、廊下で若い女子のように騒いでいた。
もちろん、私も若い女子の一部なのだけれど、タークスなので一般社員とは一線を引いている。

しかし、世の中ギブアンドテイク。与えて欲しけりゃ与えてやれ。
ザックスからの交換条件は、いつものごとく。



「やるから、デート一回な」
「またー、エアリスがいるのに」
「で、どうなの?」
「いいよ。デートしたらザックスおごってくれるもん。食費が浮く!」
「そこかよ・・・俺より給料もらってるのに。っつーか、レノのこと好きなら俺とデートしてる場合じゃないだろ」
「シー!こんなところで言わないで」



ザックスとデートの約束をしていると、レノがやってきた。
手には紅茶のペットボトルが二本持っている。
かぼちゃプリンと紅茶。なんて素敵な組み合わせだろう。
そんなことを思っていると、レノは嬉しいことを言ってくれる。



「何?、紅茶欲しいの?あげようか?」
「ほんとう?ほしいほしい」
「タダではやらないぞ、と」
「私はどうしたらいい?」
「そうだなぁ・・・」



意外とレノが真剣に考えている。
腕組みをし、うーんうーんとうなり声をあげている。
すると、ザックスが茶々を入れてくる。



「デート一回」
「ザックス!それはあんたでしょ。する約束したからいいじゃない」
「え?ザックスと、デートすんのかよ」
「プリンもらうかわりにデート一回、だよ」
「へぇ。俺なら、キスかハグだな」
「どうして?」
「例えば、相手に嫌われてるとして、丸一日拘束させるのは悪いだろ。
 キスかハグなら一瞬で終わるし、強引にやってしまえば俺は満足できるからいいんだぞ、と」



意外とデート一回にこだわりがあるんだな。
レノは少し紳士なんだと見直した。
ただ、キスハグ無理強いはちょっと・・・。
私相手なら構わないしむしろ嬉しいのだけれど、他の神羅社員にやっていると思うと胸が苦しい。



はレノのことす・・・ぐはっ。腹に肘鉄くらわせるか、フツー?」
「ザックスのアホ!バカ!マヌケ!信じられない!・・・で、私はどうしたらいいの、レノ?」
「ん、じゃーほっぺにチューかな」
「わかった」



好きな人にキスするのは緊張する。
平静を装っているけれど、心臓はバクバクいってる。どんな任務よりも難しい。
軽く頬に触れるだけ。一瞬で終わった。
私はレノの手から紅茶を奪い、一目散に逃げた。
残された二人がこんなことを話していたことなんて知らずに。



「なぁレノ」
「なんだ、ザックス」
「ほっぺでよかったのか?本当は唇にしてほしかったんだろ?」
「それこそ無理強いだろ?これでいいんだぞ、と。それより、お前、デートの約束取り消せ!エアリスに言いつけてやる」
「それはカンベンして!お願い、この通り」
「じゃあ、そのプリンは俺のものな。と一緒に食べてこようっと」









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記念すべき、ザックス初登場!
いいなぁ、この三人組ちょくちょく出そう!
かぼちゃ大好きな冬至生まれの管理人です←

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