[ Good morning kids ]
カーテンの隙間から朝日が差し込んできて眩しい。
けれど、休みの日くらい長くベッドの上にいたいと思う。
布団を頭の上までかぶった。
こうすれば朝日を遮ることは可能。
もう一眠り、と思い意識が飛びかけたところで、カーテンを開く音がする。
そして、布団を引っ剥がされる。
「レノー!!!いつまで寝てるつもり?さっさと起きてちょうだい」
「んー、もう少し・・・」
「ダメ!さっさと自分の家に帰ってよ。邪魔!!」
「ちょ、。『邪魔』ってヒドイぞ、と」
「勝手に私の部屋へあがりこんでおいて・・・朝ごはん用意したからとっとと食え、そんでもって帰れ!!!」
出会った頃はこんなに口が悪い女だと思わなかったな。
どこかのバーでルードと飲んでいるときに見かけて、意気投合して、勝手にの部屋に上がりこむような仲になって。
そういや、の方が三つくらい年上だったな。
姉、というか母親って感じだな。・・・多分。
さすがに布団を剥がされると寒いので、俺は渋々起き上がった。
開かれた扉から、なんだかいい匂いがする。
朝ごはんの匂い。
こんがり焼けたトーストの匂い。塗ったバターの匂い。淹れたてのコーヒーの匂い。がいつも飲む紅茶の匂い。
ダイニングのイスにどかっと座ると、タオルを投げつけられて顔面キャッチ。
「顔洗ってから座りなさい」と言われて、渋々洗面所に向かう。
のお気に入りの洗顔フォームを手に取った。
鏡の中の俺の顔、少し疲れているように見えた。
しっかり眠ったはずなのに、身体が少し重い。
もしかして、寝すぎか???
は俺を待っていてくれた。
焼きたてのトーストを食べればいいのに、俺がテーブルの向い側につくまで待っていてくれた。
口は悪い、けれどこういうところでは優しい。
は両手を合わせて「いただきます」と言う。
俺もそれに倣う。
「いただきます、っと」
「レノ、大丈夫?」
「へ?」
は俺の目を真っ直ぐ見ている。
目を逸らして、俺はトーストを一口かじった。
「昨日のこと、覚えてる?」と聞かれて、困った。
昨日は寝坊して遅刻したからツォンさんに叱られて、組んでいたのがイリーナだったから散々馬鹿にされた。
任務が終わってからまっすぐの部屋に行って、の手料理を食べて、風呂入ってソファでくつろいで・・・
その後の記憶がない。
眠ってしまったのか?だったらソファの上にいるだろ?
じゃあ、どうしてベッドの上に俺はいたんだ?
誰かが運んだんだろ。誰が?
しかいないだろ。
口の中に物を入れた状態での名前を呼んだら叱られた。
噛み砕いて飲み込んだ。
「あんまり無理しないでね」と泣きそうな声でが言った。
俺がいつ無理をしたって?
いつだってタークスの無茶な仕事をしている。
そんなこと、だって知っている。
今更どうしてそんなこと言うんだ?
また、は俺の目を真っ直ぐ見ている。
グロスを塗らなくとも、赤くふっくらしたの唇が動いた。
「だって、顔色悪いもの。疲れてるんでしょ?
昨日の夜、私がお風呂からあがったら、レノってばソファの上でぐっすり眠ってたし。
だから頑張ってベッドまで運んだの。ソファじゃ寝心地悪いもの」
「あ、やっぱりが運んでくれたのか」
「男の人を運ぶのって大変ね。私にできることって、ご飯を作ってあげたり、そんなことだけ」
「それに俺は救われるんだぞ、と。・・・だったらもう少し寝かせてくれてもよかったのに」
「それはイヤ!いい天気だから布団も干したいし、シーツも洗濯したいし」
ってもしかしてツンデレ?
そんなことを思ったけれど口にはしなかった。叩かれるに決まっている。
口は悪い、けれど俺には優しいんだ。
いや、俺だけじゃない。みんなに優しい。
しっかりもののだから、俺より無理しているんじゃないかな?
たまに、疲れた表情を見せるから。
そっか、疲れたもの同士だ。
の洗濯が終わったら、二人でソファでくつろいでDVDでも見ようか。
ランチは洒落た店に行ってもいい。
二人の休日、ちゃんと身体を休ませよう。
互いに、疲れた顔を見せなくていいように。
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ツンデレヒロインがちょっと書きたくなった。笑
最近、休日に二度寝三度寝をしている間に実家から電話がかかってたりしたので、
起きないレノさんで。