「じゃあな、帰ったら風呂入ってすぐに寝るんだぞ、と」
「うん、レノもね」

濡れ鼠のようになった俺たちは、神羅ビルには戻らず直帰する。
曇天とはいえ、雨は一滴も降っていない。
足を止めての姿を見送る。
振り返るな。まっすぐ前だけ見て帰れ。
風邪引くんじゃねえぞ。

俺も、冷えた身体を早く温めたい。
それなのに、の姿から目を逸らせない。
どれだけ好きなんだ、あいつのこと。

「レノ! 早く帰りなよ」

がこちらを振り返る。
足が止まっている姿を見られちゃ仕方がない。
俺もゆっくりと歩み始める。
それでも、また足を止めての姿を視界に入れようと振り返る。
そこには、同じように俺を振り返るの姿があった。

、もう振り返んな!」
「レノも!」

今日はこのまま帰りたくない。
まだ、と一緒にいたい。

きっとも、そういう気分なのだろう。
諦めて、の元へ駆け寄り、その身体を抱きしめた。





[ 振り返る ]





BACK>

inserted by FC2 system