何度も、何度でも。
「なぁ、今日こそいいだろ? 試験も終わったしさ」
「やだね」
「そんなこと言わずに、な? 俺がおごるから」
「いーやーだー。高岩とデートとかお断りよ。あんたのファンに刺される」
「俺が全力で守るから!」
「そりゃあんたのことほんの少しでも好きだったらいいけどさ」
知ってる。俺に恋愛感情を持っていないことは知ってる。
それでもいい。
「じゃあ、最初で最後のデートをしてください」
「え?」
「デートしてくれたら、のこと、諦める。もう二度と、しつこく誘ったりしない」
「そ、そう?」
「それで全額俺のおごり。嫌になったら途中で帰ってもいい。友達連れてきてもいい」
「なんか、それデートと違うんじゃない?」
振られるのは嫌だけど、仕方がない。だったら、せめて、一度でいいからデートしたい。
制服を着て、と街を歩きたいだけ。
とりとめもないことを話して、笑いたい。
「いいよ、一回でも二回でも」
「え? 二回、でも?」
「うん、あんたの覚悟、見させてもらったから。ちゃんと向きうよ」
「俺の、覚悟?」
「うん。好きになれるかわかんないけど、あんた嫌な奴じゃないからさ」
しつこい男は嫌われる。わかってた。
当たって砕けろ。砕けるつもりだった。
最初で最後のデートをしたって、きっぱり忘れられるとは思っていなかった。
誘い続けてよかった。
諦めなくて本当によかった。
ここからが、本番だ!
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