柊くんのようにエースになれればいいのに。
私はどんなに頑張ったって、ベンチ入りレベルだ。
才能がなくたって、努力すればなんとかなると思ってた。
でも、努力したって誰も私を見てなんていない。
「努力の神様にも見放されちゃったや」
「そんな神様いるのか?」
「う、え、ええええ、柊くん!?」
「そんなに驚くなよ。って意外とリアクション大きいんだな。もっと大人しいのかと思ってた」
そういえば、柊くんは中学時代にその才能を活かせなかったって。
信じられないよ。
「どんなに頑張っても、うまくならないし、レギュラーにもなれないし。マネージャーでもやってればよかったかな」
「いつも練習頑張ってんじゃん。ちょっと力みすぎな気がするから、少し力抜いて気楽にやってみれば?」
「そっか、力みすぎなんだね、私」
「ああ。あ、いや、まぁ、そうだ」
急に口ごもる柊くん。
何かおかしなことでも言ったのだろうか。
顔を赤くして、いつものクールな柊くんらしくない。
そんな彼の一言で世界が変わった。
「努力の神様が見てなくても、俺がいつも見てる。だから、は今まで通りでいい」
「そう、かな」
「ああ、おれが保証する。俺の言うこと、信じろよ」
一生その言葉、大事にするよ。
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