いつも隣で笑っていて、泣き顔は見せない。
弱音も吐かない。
寂しいとも言わない。
たまには俺に甘えてくれ。
でないと、の優しさに甘えてしまう。

、なぁ」
「なんですか? 跡部さん」
「二人きりのときは、景吾でいいって言ったろ?」
「だって、まだ帰り道だし。それより、なんですか?」

聞きたいことはたくさんある。
でも、何一つ聞けなかった。
言いたいことがある。
でもどうでもいいことばかり話した。
そんな話には嫌な顔せず相槌を打ってくれる。

「景吾さん」
「なんだ?」
「何か、私に言いたいこと、ありませんか?」
「……何年も傍にいなくても俺のこと好きでいてくれるか?」
「えっ」

唐突な質問だろう。
でも、賢いならどういう意味かわかるはずだ。
それに、俺が海外留学するという噂もいくらかたっている。

ゆっくり頷き、か細い声で「はい」と返事をする
また、俺はに甘えている。
こいつは俺の言うことに「いいえ」とは言わない。

「景吾さんも、離れていても私のこと好きでいてくれますか?」
「アーン、俺を誰だと思ってんだ。他の奴のこと、好きになるわけないだろ。俺には以外見えないし見る気もねぇよ」
「ちゃんと、イエスかノーで答えてください」

いつもなら、笑って流すところなのに、今日のは大真面目な顔でこちらに回答を求めてくる。
俺も、に倣って頷く。

「イエス、だ。どこへ行こうが、俺はのことをずっと好きでいる」





[ 頷く ]





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