声が聞こえる。
私の名前を呼んでる。
普段は絶対にこんな優しい声を、彼は出さない。
「」
「……」
「、聞こえるか?」
「……」
「寝たふりはやめたまえ」
「ごめんなさい。ルーファウスの声がとっても優しくて、ずっと聞いていたかったの」
大きな掌が私の頭を撫でて、髪を梳いていく。
温かい。
眠くなってくる。
ベッドの中でブランケットにくるまって、大好きな人が傍にいて、私は幸せだ。
こんなに穏やかなルーファウスを見るのは久しぶりだ。
神羅ビルが崩壊して行方不明になり、見つかったと思えば星痕症候群を患って見つかった。
いつも痛みに顔を歪めている。
そうだね、これは夢なんだね。まだ、ルーファウスの星痕は治ってないもの。
夢から醒めた。
頭をベッドに預け、身体は床の上に投げ出していた。
身体を起こそうとしたけれど、頭を押さえつけられていて動けない。
その手をどかした。
包帯に巻かれたルーファウスの手が、私の頭を押さえていたようだ。
「ルーファウス」
「……」
「早く、治って、夢の中みたいに、また優しくして」
「……」
返事はないけれど起きているみたいだ。
ルーファウスの掌が私の頬に添えられた。
ルーファウスの顔へ視線を投げかけたけれど、目は閉じたままだった。
頬に添えられたルーファウスの手に、自分の手を重ねた。
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