困ったな。
少し休憩するつもりでソファで眠る隊長の隣に腰掛けただけなのに、膝の上には隊長の頭がしっかり乗せられて身動きできない。

「たいちょー、そろそろ仕事したいんですけど」
「焦るな。仕事は逃げやしねえ」
「今日は女子会なんで早帰りしたいんです」
「ん、あと少しだけ。の膝の上、気持ちいい」

隊長と私が恋人同士だということは周知の事実だけれど、執務室でいちゃいちゃするのはよくないことだし、
こんな姿を誰かに見られて総隊長に伝わったら、隊長の進退問題にも関わるはず。

私は何もすることができないから、時間を持て余す。
疲れている隊長を癒したいとは思うけれど、仕事中に癒しを求めてこられても困ってしまう。
ため息をつけば、執務室の扉が開いて誰かにこの姿を見られてしまった。

「あら〜、隊長、お休み中?」
「乱菊さん、助けてください。仕事が終わらなくて女子会に遅刻しそうです」
「いいじゃない、隊長に仕事を押し付けたら。それにしても、とっても穏やかな寝顔ね。眉間に皺、寄ってないじゃない」
「いつも眠っているときは皺なんて寄ってませんよ」
「まぁ!」

乱菊さん曰く、隊長は常に眉間に皺を寄せているらしい。
確かに、仕事中は険しい顔をしていることも多いけれど、それ以外では穏やかな表情をしていると思う。
私の見間違いだろうか。

と一緒にいるときは別ってことね」
「え?」
「隊長にとって、安らぐ場所だってこと。いいじゃない、隊長のために時間を存分に持て余しなさい」

せめて、お茶が飲みたいなぁ。





[ 持て余す ]





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