「徹くんは気にしすぎだよ」

あまりにもキョロキョロしていたので、さんに指摘された。
互いの家に行くことはあっても、あまり外デートをしたことがないから、
誰かに見られてからかわれるのじゃないかとか、気にしてしまう。


「いや、でも高柳とかに見られたら、後で何言われるかわかったこっちゃないっていうか」
「いいじゃん、高柳くんでしょ? 私も知り合いだし」
「いやいや、だから余計に、気まずいっていうか、なんていうか」
「ねえ、私のこと、キライ?」
「違う、違うって。好き、好き、好き。好きです」
「私も徹くんのこと好きだよ。好きあってる二人が一緒にいて何が悪いの?」
「それも、そうっすね・・・」


とはいえ、やっぱり気にするよな。
うわー、もう、俺、どうしたらいいんだよ。


「ねえ、徹くん」
「何すか?」
「私のこと、気にしてよ」
「へ?」
「周りのことより、私のこと気にして」
「あ、えーと」
「私のこと、ちゃんと見て」


せっかくのデートなのに、周りに気をとられて隣にいる人のことを置き去りにしていた。
手を伸ばしたら、さんはすぐに手を繋いできて笑顔になった。





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