いつも大人びていて。
背伸びしても追いつけっこなくて。
そんな私を見て、笑ってくれて。
優しく名前を呼んでくれる。


「なあに、景吾くん」
「なんでもねえ」

私の頭をポンと撫でて、景吾くんは遠ざかっていく。
いつも、私は景吾くんの姿を見ているだけ。
何にもしてあげられない。
何か役に立つことをしたいのに、何も思いつかないし、何も言ってくれない。

それでもいつも、テニスコートの上では眩しいくらいに輝いていて。
私はその姿に元気をもらう。
いつまでも、私のことを照らしていて。





[ 輝く ]





は地味な女だと皆が言う。
おとなしくて目立たない、控えめなところを指して言うのだろうが、俺は好きだ。
笑った顔が眩しいくらいに輝いているのに気づかないのか?
あんな顔されたら、恋に落ちないわけがないだろう。

損得勘定無しの笑顔、優しい穏やかな声。
テニスコートからよく見えるあの姿に、どれだけ勇気づけられるか。

これからも、俺の傍で目が眩むくらい輝いていてほしい。




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