「隊長? いらっしゃらないのですか?」

執務室はもぬけの殻。
でも、隊長の霊圧は感じる。
もしや、仕事のしすぎで倒れたか?
慌てて部屋中を捜すと、ソファの上に横たわる隊長を見つけた。

倒れたというよりは、眠っているようだ。
昼寝にしては少し遅い時間だ。

銀色の髪に触れる。
男の人にしては、柔らかくて細い髪。
撫でるとふわふわしていて気持ちがよかった。

「すごく気持ちいいな、隊長の髪」
「それはよかったな」

気がつけば、エメラルドグリーンの瞳が半開きでこちらを見ている。
顔が引きつってしまったが、まずは上司への謝罪からはじめよう。

「も、申し訳ありません。あまりにも気持ちよさそうに眠っていたので、つい・・・」
は、眠っている奴には何でもするんだな。ま、執務室で眠ってた俺が悪いんだが」
「いえ、隊長は悪くありません。十割方、私の過失です」
「そうか」

隊長は体を起こして、ソファに腰掛ける。
寝起きで、少し眠いらしい。
ぼーっとどこか遠くを見ていたが、その手が私の方へ伸びてきた。
隊長の足元の床に座っていた私の頭を、撫でた。

「た、隊長!」
「これで、相子だ」

隊長は目を細めて柔らかい笑みを浮かべた。
不覚にも、胸がときめいてしまった。





[ 撫でる ]





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