「ケーキバイキング行こ!」
「俺、モンブランな」
「うん、わかってる」
突発的にケーキバイキングに行く。
と一緒にいればよくあることだ。
「映画見に行ってくる」
「は? 行くって今からか?」
「レイトショーあるもん。レノも行く?」
「行くに決まってるぞ、と。あんな密室に、を一人で置いておけるか。狼どもに食われる」
「そんなにおいしくないよ、私」
はたまに天然。
いや、ただのバカか?
映画を見終わったら、眠いからホテルに泊まろうと言い出す。
は純粋に眠いだけ。
俺と一緒にいたいわけじゃない。
「眠いー。家まで帰るのしんどいし、ホテルに泊まろうよ」
「じゃあ一人で泊まってけよ。俺は家に帰る」
「やだ。レノも一緒に寝ようよ」
「どういう意味かわかってんのか?」
「同じベッドで同じ布団かぶって寝るってこと」
「だあぁ、もう、は全然わかってないな。ホテルに泊まるってことの意味が」
「冗談だって。レノの言いたいことはわかってる。私のことは、レノの好きにしていいんだよ」
は真顔でこちらを見ていた。
「私だって、いつもバカなわけじゃないよ。レノのこと振り回してるのわかってるから、お礼がしたいの。
こんなの、お礼のうちに入るかわからないけど、何したらいいかわかんないし。
ごめんね、こんなバカな女で」
バカなのか、バカじゃないのか、どっちかはっきりしろよ。
ため息をついて、の手を引いた。
[ 振り回す ]
BACK>