「この関係にも飽きたな」
「どういう意味でしょうか、ルーファウス様」
「『様』はいらないと言ったが?」
「秘書がそのように呼び捨てるるわけにはいきません」
「構わん」


社長と社長秘書。
つまらない関係だ。
もっと面白い関係があるだろうに。
は仕事上の関係しか私と構築する気がないらしい。



「はい」
「もっと私を楽しませてくれ」
「わたくしにはそのような器量はありません」


との距離を詰める。
はその場を決して動かない。
そのうち二人の距離はゼロになる。


、そのまま動くな」
「承知しました」


目線は床に落としたまま。抱えたスケジュール帳が少し揺れている。瞬きの回数が増えていく。
そんなを見ていると愉快だ。
額と額をくっつけても、目を合わせようとはしない。
軽く口付けると、ようやく抵抗を示した。


「な、にを」
「動いたな」
「も、申し訳ありません」
「謝る必要はない」


十分楽しませてもらったからな。
次に飽きるのはいつになるのやら。





[ 飽きる ]





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