視線を感じて顔をあげた。
は俺と目が合うと、慌てて走り去った。
あからさまだ。

気配を感じて振り返ると、バスケットボールが飛んできた。
受け止めて投げ返す。
「しばらく外す」それだけ高岩に伝えて体育館から走り去った。

校舎の最上階の廊下にたたずむ姿を見つけて、忍び寄る。
いつになったら俺に気づくのだろうか。
声をかけようとしたら、はため息をついた。

「ため息、つくな」
「な、な、なるせくん!」
「幸せ、逃げるんだろ」
「逃げない、逃げない。ため息くらいじゃ逃げないよ。もうお腹空いたから帰るの」
「さっき体育館の前にいたのに、どうして校舎の四階にいるんだ?」
「ちょっと、高いところに行きたくなっただけ」

支離滅裂だな。
そういうところが、可愛いと思う

「素直じゃないところも含めて、いいと思うんだよな」
「な、何が?」

もう、誤魔化せないな。
俺は、が好きだ。





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