強烈に惹かれている。
誤魔化しようがない。
困ったな。叶わぬ恋なのに。

社長は婚約を発表して、明日には結婚披露宴もある。
忘れようと思っても、全然忘れられない。
他の人を好きになれればよいのに、誰も好きになれない。

「最近浮かない顔をしているな、
「社長・・・気のせいです」
「いつも見ていたからわかる。隠しても無駄だ」
「私なんて見ないでください。それより、明日は結婚式なのに、こんなところにいていいんですか?」

どうしてため息をつくのですか。
どうしてこんなに近いのですか。
どうしてそんな瞳で私を見るのですか。

「やめてください」
「本当は、やめてほしくはないのだろう?」
「お戯れはよしてください」
「嫌だと言ったら?」

耳に社長の吐息がかかる。

その声も、その顔も、その頭脳も、全部ぜんぶに惹かれる。





[ 惹かれる ]





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