傷だらけの顔。
細った呼吸。
包帯だらけの体が目の前に横たわっている。
長かった髪も、戦いの中で切られてバサバサだ。
綺麗な髪だったのにな。
指通りがなめらかで、その髪に触れるのが好きだった。
「」
「しゃ、ちょう」
「酷いやられようだな」
「申し訳、ありま、せん」
「もういい。しゃべるな」
の瞳から、一粒の涙が零れる。
涙の跡を手の甲でぬぐって、その頬に接吻する。
弱ったもまた一興だ。
体が疼いて仕方がない。
ただ、胸も疼く。
恋人が傷ついて喜ぶ程、私もマゾヒストではない。
[ 疼く ]
任務失敗だ。
主任とルードがフォローに回ってくれている。
一通りの治療を終えて、病室で一人。
白い天井を見つめた。
傷が疼く。
気配を感じると、すぐに病室の扉が開いた。
社長だ。
ごめんなさい。無事に戻れなくて。約束を守れなくて。
胸も疼く、傷も疼く。
痛い、痛いよ。
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