いつも、見られている気がする。
でも、近づくと、目が絶対に合わない。
俺と話すときは、声が小さくて揺れている。

俺のこと、どう思ってんだ? 嫌いなのか? 好きなのか?
他の奴らと話すときみたいに、元気よく話せよ。笑えよ。俺と目を合わせろよ。

隊首会の帰り、とばったり会った。
これから隊舎に戻るらしい。
戻る先は同じなのだから、一緒に帰ろうと言っただけで、は動揺している。
何でだよ。


「何に動揺してんだ?」
「あ、いえ、その・・・日番谷隊長とご一緒すると、緊張しまして」
「俺以外の隊長格と一緒のときはそういうふうに見えねえけどな。京楽とかと酒飲んでるときとか」
「お酒の場は、通常時とは違いますよ」
「そういうもんか?」
「そういう、ものです。多分・・・」


はっきりしない奴だな。


「言いたいことは、はっきり言え」
「はい」
「後悔しても、俺は責任とれねえからな」
「はい、そうですね。はっきり言います」


急にの声が真っ直ぐになる。
俺を真っ直ぐ見てくる。


「日番谷隊長、お慕い申し上げています。このまま、ずっとお慕いしていてもよろしいでしょうか」


駄目と言うわけないだろ。
一生、慕っていてくれよ。
の顔が朱に染まっているのは、夕焼けのせいか、それとも、吐き出した気持ちのせいか。


「ありがとう」


それ以上、言えなかった。
の笑った顔が、綺麗すぎて。





[ 慕う ]





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