口をへの字に曲げ、眉をハの字に曲げ、目に浮かぶ涙を堪えている。
泣くのを我慢するなよ。


「どうした、。顔がぐちゃぐちゃだぞ」
「原田くん、すごく失礼」
「だって、泣くの我慢してそんな顔なんだから、もう思い切って泣いちゃえよ」
「うわーん、原田くんのバカー」


の奴、大声で叫びやがった。
校舎裏だから人はいないし、寒いから廊下の窓も閉まっていて誰にも聞かれていないだろうけど。

だいたい想像はつく。
高柳が「と別れる」って言ってたからな。
俺としては早く別れてくれって思ってたから嬉しいけれど、が傷ついて悲しんでいるのには心が痛む。


「ほら、ティッシュ使えよ」
「ありがとう。ティッシュ持ってるなんて意外」
「必要になる予感がしたんだよ」
「どうせ、学から聞いてたんでしょ。別れてくるって」
「ああ、まあ、そうだけど」
「ありがと、ごめんね、もうちょっと泣かせて」
「ああ、泣き止んだら・・・ちゃんと前見て歩けよ」
「うん」


俺の隣に嗚咽を堪えながら涙を流す
俺は頭を撫でてやることしかできない。
泣き止んだら、俺のところに来いよって言いたかった。
言えるわけ、ないだろ。
まだ高柳のこと好きなんだろ。
俺も、泣きたいよ。
どうやったら、俺のこと振り向いてくれるんだよ。





[ 泣く ]





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