「あーさーくーらー! 帰ろうよ」
「一人で帰ればいいじゃん」
「朝倉と一緒に帰りたい気分なの」


なんで、は俺のところに入り込んでくるんだろうな。
それを拒否しない俺も、どこかでの中に入ろうとしているのかもしれない。
多分、互いに寄り添いたいと思っている。


、帰ろう」
「ほんと? やった、帰ろ!」


嬉しそうに笑っている。
その顔を見ると、安心する。
スキップしながら教室を出て行く
俺はその姿を眺めつつ、ゆっくりと歩いて玄関へ向かう。

校門を通り過ぎて、学外へ出る。
手は繋がない。
でも、腕が触れ合うくらい、近い距離で歩く。
帰りたがったくせに、無言で歩いていく。
俺も、何も話すことがなくて黙ったまま。


「なんか、朝倉と一緒にいると幸せだ」
「ふーん」
「朝倉は? 私と一緒にいるとどんな感じ」
「さあ、どうだろうな」


濁した返事のその先をは求めなかった。
多分、欲しがっている。
でも、言わなかったのはきっと俺への配慮だと思う。
そういうところが、好きだ。
他の奴にはなくて、にだけあるよいところ。
だから、一緒にいたいと思う。
体よりも、心で寄り添いたいと、思う。





[ 寄り添う ]





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