すっと体の力が抜けた。
目の前が真っ白になる。
持っていた鞄が地面に落ちてドサっと音を立てた。
私の体も地に打ち付けられる。
そう思ったけれど、変な体勢で誰かが引き留めてくれたらしい。
「おい、! 大丈夫か?」
「だいじょうぶ。目が眩んだだけ」
「顔色も悪いじゃねえか。無理すんなよ」
抱き起してくれた跡部くんにお礼を言う。
けれど、跡部くんは私を離してくれない。
密着はしていないけれど、傍から見れば跡部くんが私を抱きしめているようだと思う。
「あとべ、くん?」
「なんだ?」
「あの、もう大丈夫なんで、離してもらっていいですかね」
妙な間があって、それから跡部くんは私を離してくれた。
安心したのもつかの間、跡部くんの顔が眼前に。
「あああ、あとべくん、ちかいちかいちかい」
「だからな。わかってやってる」
「やめてくださいいいいい」
また眩うから、やめて、お願い。
[ 眩う ]
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