授業が終われば延々走っている柊くん。
声をかけてもそっけない。
何を思い悩んでいるの?
私には話せないことなの?

私には、柊くんの相棒は務まらないもんね。
立花くんしか、目に入らないんだね。

何もしてあげられない。
立花くんと代わってあげることもできない。
私の存在価値は、柊くんの中にはないんだね、きっと。

「柊くん、あの」
。どうかしたか?」
「大丈夫?」
「何が?」
「あの、柊くん、無理してないかなって」
「無理なんてひとつもしてねえよ。それより、俺はの方が心配なんだけど」

心配されるようなことなんて、ひとつもないよ。

「元気ないし、あんまり笑ってくれないし、俺のこと、嫌いなのかって思った」
「そんなことないよ! 元気だよ! 柊くんのこと大好きだよ!」
「そっか。ありがとな」

柊くんは、ほんの少しだけ穏やかな表情を見せてくれた。
ポンと軽く頭の上に柊くんの手が載る。

「うまく前に進めないけど、確実に進んでる気がするんだ。だから、もう少し待っててくれ」
「よくわからないけど、待ってる」

私は、元気な顔して待ってれば、いいんだよね。
それだけなら簡単だ。
がんばろう。憂いなんて吹き飛んでしまえ。





[ 憂う ]





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