声を掛けようとして、やめた。
レノが、若い女性の神羅社員と話していたから。
別に話すこともないから、会話の邪魔をしちゃいけない。

とはいえ、本当はもっとレノと話したい。
一緒にいたい。
そうやって、求めることは、いけないことなのだろうか。
そんなことはない。
なのに、求めれば求めるほど依存してしまって、抜け出せなくなる。
あとは、そんな私に愛想を尽かすのではないかと思い、怖くなる。

声を掛けずにレノの横を通り過ぎたら、逆にレノから声を掛けてきた。


! どこいくんだ?」
「仕事」
「そりゃわかるぞ、と。何の仕事?」
「下請け業者と打ち合わせ」
「今晩、暇なら飯行こう」
「考えとく」


そっけない返事をしつつレノを見ると、すでに女性社員との会話に戻っていた。
私の天邪鬼さにはうんざりする。





[ 求める ]





暇つぶしで廊下を歩いていた若い子に話しかけていたら、が通り過ぎた。
やっべ、口説いてると思われたか?
慌てて何食わぬ顔で声を掛けたけれど、の声は冷たかった。

このままこの子を放ってに駆け寄って抱きしめてキスしたい。

でも、できなかった。
こんなにを求めているのに、どうして俺は他の子の気を引こうとするのだろう。

今晩、に断られたら、武者修行にでも出て、リセットした俺でも見てもらうか。




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