執務室へ行くと、隊長がソファでお昼寝していた。
眉間に皺が寄ってる。
かわいい顔が台無しだよ。
お昼寝中でさえ、何か難しいことを考えているのかな。
隊長の寝顔を眺めながら、おやつを食べていると、隊長の体が揺れた。
「おはようございます、隊長」
「おはよ・・・」
隊長は目をこすって私の顔を凝視する。
そして、顔を真っ赤に染めた。今にも爆発しそうだ。
「隊長?」
「なっ、なんでもない」
「なんでもないわけないですよね、そんなに顔を真っ赤にしちゃって。やましい夢でも見てたのですか?」
「違う!」
「じゃあ、どんな夢ですか?」
「キスして、抱きしめただけだ」
つい言ってしまったようで、隊長は慌てて口元を押さえていたが、手遅れだ。
からかってしばらく遊べそうだ。
「だーれーにー?」
「うっせえ、黙って仕事してろ。お前、松本みてえになってんぞ」
「松本副隊長に失礼ですよ。今日の仕事は終わったので、副隊長の仕事を奪いにきたのですが不在でした」
「は優秀なこった」
「ちがーう。話をすり替えないでください。誰にキスとハグしたんですか?」
「誰でもいいだろ。放っておけ」
「雛森副隊長? ありきたりすぎてつまんないですね。
松本副隊長? 豊満な体が抱き心地よさそうですよね〜
草鹿副隊長? 隊長より小さいから、今のままでも抱きしめられますね」
「お前な! 勝手に妄想するな」
「じゃあ、誰なんです? 教えてくれたっていいじゃないですか」
はっきり耳に届いた言葉に驚きを隠せなかった。
本当はからかうのをやめたかったけど、やめるにやめられなくなった。
ごめんなさい、隊長。
好きだから、許して。
「お前だ、お・ま・え!」
「お、大前田? 大前田副隊長ですか? そういう趣味なんですか?」
「どういう聞き間違いしてんだ! 俺は男より女の方がいい」
「ふふふ、今日の隊長、からかい甲斐があって楽しいです」
「遊ぶな、俺はお前の玩具じゃねえ」
「隊長、さっきから私のこと『お前』としか呼んでくれないですね」
口をヘの字に曲げて不貞腐れると、隊長は大きな溜息をついて自分の机に向かってしまう。
怒らせちゃったかな。
「隊長、正夢とは少し違うけど、これで許してください」
「は?」
理解できていない隊長の頬にちゅ、と音を立てて触れ、彼の頭を包み込むように抱きしめた。
[ 戯れる ]
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