こちらが泣きたいくらいだ。
柊くんの表情が歪んでいる。
辛いことがあっても、全然話してくれない。
愚痴もこぼさない。
私は、柊くんのカノジョのはずなのに。
「柊くん、辛いの? 痛いの?」
「別になんでもない」
「なんでもないって顔じゃないよ」
聞いても、無駄なんだね。
私にできること、ないのかな。
俯いた柊くんを見ていると、彼の腕がこちらに伸びてきた。
私と柊くんの距離がゼロになる。
「柊くん?」
「、しばらく、こうしていていいか?」
「いいよ。柊くんの気が済むまで」
私も柊くんの体に腕を回す。
柊くんは私の肩に顎を載せた。
私は抱きしめることしかできないけど、それで柊くんの心を癒すことができるなら、
いくらでも抱きしめるよ。
[ 抱きしめる ]
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