ケンカして、仲直りして、わだかまりがなくなって溶け合う心。
すごく、心地よい。


「レノ、今、私たち、とってもよい関係だよね」
「ああ、そうだな」
「幸せっていいことだね」
「当然だぞ、と」
「おすそ分けしたくなるね」
「それはダメだぞ、と」
「どうして?」
「幸せが減る! 俺との幸せは俺たちだけのものだぞ、と」
「欲張りだね」
「もっともっと欲しいんだぞ、と」


私の首に腕を絡ませ、抱きつくレノ。
私もレノの体に腕を回す。



「何?」
「なんでもない」
「じゃあどうして呼んだの?」
「呼びたかっただけだぞ、と」
「じゃあ、私も。レノ、レノ、レノー」
「呼びすぎ。情緒もくそもないな」
「名前を呼ぶのに情緒を求めたらダメだよ」


レノの胸に顔を埋める。
レノは私の頭を撫でてくれる。
私はこのまま体が溶けてレノとひとつになれればいいとは思わない。
だって、そうしたらレノから頭を撫でてもらうことも、キスしてもらうことも、抱きしめてもらうこともできなくなるから。
そんなの嫌だ。
だったらせめて、心だけでも、溶け合ってひとつになれればいいのになと。
ひとつになれなくても、ひとつに近いところで触れ合っていられればいいなと、思うよ。





[ 溶け合う ]





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