急用が入って帰宅時間が大幅に遅れてしまう。
今日はレノと約束していたのに。
しかも、携帯電話の持ち込み禁止の職場で仕事をしていたから、連絡もできなかった。
今から帰るとメールしたけど、返事は来ない。

レノも仕事だったらいいんだけど、そうは思えないな。
今日は絶対に早く帰るって言ってたし。

大急ぎで自宅に戻ると、リビングでレノがしっかりくつろいでいた。
脱いだジャケットと靴下が床に落ちている。


「レノ、ごめんね。遅くなって」
「うん」
「ご飯食べてないでしょ? 私もお腹すいたからちょっと待ってて」
「うん」
「レノ・・・」
、何?」


さっきから冷たい声のトーン。
拗ねてるのかしら。


「レノ、ごめんね」
「うん」
「拗ねないで」
「拗ねてない」
「もう、拗ねてるじゃない。どうしたら機嫌直してくれるの?」
「さあ」
「ご飯食べる? お風呂入る?」
「風呂かな」
「わかった、じゃあすぐに掃除してお湯を張るから待ってて」
は?」
「その間にご飯作る」
「一緒に入ろ」
「え?」
「一緒に風呂に入ろうって」
「わかった、それでレノの機嫌が直るなら一緒に入る」
「やったぞー、と!」


レノがにやにや笑っている。
こいつ、拗ねたふりして私と一緒に風呂入るために誘ってたのか。


「レノさん、拗ねたふりですかー?」
「怒るなよ、。だってそうでもしないと一緒に入ってくれないし」
「もう、レノなんて知らない」
「おいおい、拗ねるなよー。風呂なら俺が掃除しといたから、後はお湯を張るだけだぞ、と」


用意周到だこと。





[ 拗ねる ]





BACK>

inserted by FC2 system