わかってたけどね。


「社長!」
「騒がしいぞ、。静かにしたまえ」
「この私を、弄んだのね」
「何を言っているのかよくわからないが」
「この、バカ。許婚がいるくせに、何を言う、その口は」
「だから、何を言っているのかよくわからない。わかるように説明したまえ」
「神羅カンパニーの切れ者の社長が何を言う。昨日の夜、ホテルに連れ込んで何をしたか覚えてないの?」
「すべて覚えているよ」
「だったら、どうしてしれっとした顔してるの? 私は今朝、あんたの許婚が実家に突撃してきて大変だったんだから」
「それがどうした?」


人の気持ちも考えないで、弄ぶなら金とるよ。


「親が決めた婚約なら、もう破棄した。向こうがしつこいから適当にあしらっていたつもりだったが、爪が甘かったな」
「だったら、どうにかして! うちの両親に迷惑かけないで」
「そうだな、謝罪のついでに挨拶に伺おう」
「はあ!?」
「正式に婚約しよう、ということだ」
「アホか! 私がいつあんたのこと好きだって言った?」
「口で言わなくても、体に聞けばわかる」


開いた口が塞がらないとはこのことだ。
社長は瞬時に私との距離を詰め、頭を鷲掴みにする。


「痛い!」
「さあ、これからどうしようか」
「離して」
「断る」
「これ以上、私を弄ばないで」
「弄んでいるつもりはないが、がそう感じているのならば謝ろう」
「全然、謝る気、ないね」
「当然だ」


社長、弄び料を請求しても構いませんか?





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