がこっち見て笑ってる。
俺に、笑ってんのかな。
なんて、思ったりする。
「原田くん!」
「な、なんだよ。顔が近い、近いから離れろって」
「顔にゴミがついてるよ」
「あ、いい、自分で取るから」
「遠慮しなくていいよ」
口元に指が触れ、遠ざかっていく。
さっき食べたお菓子を包んでいたラップがついていたらしい。
はきっと俺のこと何とも思っていないだろうし、ただの友達の顔にラップがついてたから取っただけなんだろうけど、
俺にとっては特別で、異性として好きな奴に顔を触られたら、
心臓がうるさくてしょうがない。
俺は、には触れることもできない。
遠ざかるの姿を、何メートルも離れたところから指でなぞり、触れた気になった。
[ 触れる ]
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