下校中、知らない他校の男子に絡まれた。
面倒だから適当にあしらおうとしたら失敗した。
大声を出して助けを呼ぼうとしたら、南くんの姿が視界に入った。
向こうも私に気付いてこちらに駆けつけてくれる。


「おい」
「なあ、ちゃんと俺の目を見て話そうよ」
「嫌です! 手、離して」
「おい、ちょっと」
「なあ、ちょっとかわいいからって調子に乗ってんじゃねーよ」
「かわいくなんかありません!」
「おい、がかわいくないわけないだろ!」


この他校の男子は、南くんがいることにすら気付いてなかった。
どれだけ影が薄いんだ、南くん。
でも、すごく嬉しいことを言ってくれた。
南くんにとって、私はかわいいの分類なんだね。度合いはどうであれ。


「南くん、助けて!」
「言われなくても、わかってる」
「いつからお前いたんだよ、ってやべえ、亜久津がいる」


他校の男子は南くんの後ろを歩いていた亜久津くんの姿を見て怯えて逃げ出した。
ありがとう、亜久津くん。ありがとう、南くん。


、大丈夫だったか?」
「うん、大丈夫。腕を強く掴まれただけ」
「心配だから送っていくよ。どこまで行くんだ?」
「え、でも、南くんは?」
「俺も、もう帰りだから大丈夫」


地味だけど、彼はいつも爽やかで格好良くて、私のヒーローなんだよ。
ときめく心は終わりを知らないよ。





[ ときめく ]





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