どうして、泣いてるんだ。
誰が、泣かせたんだ。


、落ち着け」
「うん、落ち着くために泣いてる」
「どこか痛いのか?」
「ううん、痛くないよ。こうなるのはわかってたけど、前に進めなくて、進みたくて」


抱きしめてやりたい。
けれど、触れる勇気もない。


「拓也くんに、好きって言った」
「兄貴に・・・言ったのか。それで・・・」
「振られたよ。妹なんだって、私は」
「・・・」
「でも、ずっと妹でいていいよって言ってくれた。優しいよね、拓也くん」


優しいわけないだろ。
本当に優しくてのことを想うなら、俺も好きって言うだろ。


「ねえ、仁成くん」
「なんだ?」
「好きになるのも、嫌いになるのも、振られるのも、振るのも、つらいものだね」
「つらいけど、楽しいときも、幸せなときもある。兄貴のこと、好きでよかったこと、あるだろ?」
「そうだね。拓也くんのこと、見ているだけで幸せだった」
「振られる覚悟で気持ちを伝えたのは、意味のあることだったか?」
「まだ、わからない。でも、きっとあると思う」
「泣き止んだら、探しに行こうな」
「え?」
「気持ちを伝えた意味。これから前を向いて進む意味。俺も、手伝うから」


本当はに俺のことを好きって言って欲しい。
でも、今はが立ち直る手助けを、また笑ってくれるように心の支えになるように、慰めるだけ。





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