パン屋のレジで頬杖をついて通りを眺める。
私のつまらない日課。
ピークは過ぎ去った。
次のピークまで、暇だ。

赤毛の男がこちらに手を振って通り過ぎた。
スキンヘッドにサングラスの男が、会釈する。
金髪と黒髪のソルジャーが仲良さげに会話して通り過ぎる。

神羅カンパニー、か。
私には遠い世界だよ。うちのお客さんだけど。

今度は白いスーツの男性。
そんなものを着ている人は、あの人しかいない!


「ルーファウスさん!」
か、久しぶりだな」
「最近買いに来ないじゃないですか。心配しましたよ」
「親父に飛ばされたんだ。今日はたまたまミッドガルに帰ってきた」
「そうなんですね」


じゃあ、また会えなくなる。
沈んでいると、ルーファウスさんの顔が私の真横にあった。
耳元で囁かれる。


に会いにきた」
「わ、わたしにですか!」
「このまま、私と一緒に来ないか?」
「ど、どこへですか?」
「どこへでも。愛する女性となら、どこへでも行ける」


憧れのルーファウスさんに愛を囁かれた。
心臓、止まりそうだ。
ルーファウスさんは目を細めて優しく微笑んだ。





[ 囁く ]





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