いつも、思う。

どうして彼はこんなにも美形なのだろう。

女の私と比べ物にならないくらい、美しい造形。

顔も、腕も、胸も、足も、全部、ぜーんぶ。

声も、思考も、形はないけれど、美しい。

美しすぎて、毎日何度でも惚れる。





「なに?」

「世界を恐怖で支配するのは簡単だ。ただ、を支配することは難しい」

「そうだね。私は誰かの所有物にはならないよ」

「それでも、どうにかして、手に入れたいと思っている」

「そう。がんばって」

「応援する気は皆無だな」



鼻で笑って、口角を上げて、涼しげな瞳でこちらを射抜く。

嗚呼、また彼に惚れる。





[ 惚れる ]





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