たくさんの歓声を浴びて、高岩くんの手から放たれたバスケットボールはリングの中へ吸い込まれる。
何度も見た彼のガッツポーズと笑顔は、いつも私の心を大きく揺さぶる。
好きだ、あの笑顔。好きだ、真剣にバスケットに取り組む姿。

高岩くんに恋焦がれている人は、私以外にもたくさんいるって知ってる。
ライバルを蹴落とす力なんてないし、抜け駆けする勇気もない。


、今日も応援ありがとう」
「お疲れ様。今日も、かっこよかった」
がそう言ってくれると、頑張った甲斐があるな」
「どういたしまして。私にはそれくらいしかできないから」


私の姿を見かけると、いつも声をかけてくれる。
そういう優しいところも好き。

恋焦がれて苦しいよ。
私は高岩くんに焦がれているなんて、知らないんでしょ?
ずっと、その飄々とした態度で、私のこと焦がし続けて。





[ 焦がれる ]





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